放電加工は、人工的に発生させた放電現象を利用して、その電気エネルギーを加工物の局所に集中させて溶融除去を行う加工方法です。
右の図は放電加工装置の模式図です。
電極と加工物と間には、電圧が印加されています。
電極と加工物とは加工液(絶縁液)の中に浸されています。
電極と加工物との間隔が大きいと加工液が絶縁状態を維持するので、放電は発生しません。
右の図のように、加工物に対して電極を
近づけていくと、電極と加工物との間の
絶縁状態が破壊され、放電が始まります。
次に、電極と対向している加工物の領域内で複数の個所に放電が生じ、加工物の
放電が当たったところが溶融します。
加工物が放電により溶融すると、その
周囲の加工液が熱せられ、加工液は液体から気体に急激に変化します。
その結果、溶融物の周囲の加工液が気体になることで高圧が生じ、溶融物を弾き飛ばします。
弾き飛ばされた溶融物は加工液によって冷却され、個体粒子になって加工液中を浮遊します。
一方、加工物において溶融物が弾き飛ばされた場所は、凹んだ状態(クレータ)となります。その結果、加工物表面が加工されます。
右の図では、大きく1か所のみクレータが形成されていますが、実際には数μm以下の小さなクレーターが複数形成されています。
放電を繰り返すことで、加工物の電極と対向する領域に複数のクレータが形成され、加工物の表面を徐々に除去し、
加工が進んでいきます。
これが放電加工の原理です。